下肢静脈瘤について

下肢静脈瘤とは

足足に瘤のように血管が浮き出たり、細かいクモの巣のように透けて見えるようになる疾患です。
足は心臓から遠く、重力の影響も受けています。そのため、重力に逆らって血液を心臓に戻す必要があります。血液を心臓に戻す血管である静脈には所々に半月状の静脈弁があり、これが逆流を防ぐ役目を担っています。ふくらはぎの筋肉が動くことで血管を圧迫して血液を上に送り、静脈弁が逆流を防ぐことで血液が心臓に戻っていっているのです。

下肢静脈瘤の原因

下肢静脈瘤の原因足の静脈にある弁がうまく閉じなくなる、あるいは壊れることによって逆流を防止できなくなることが原因で下肢静脈瘤は起こります。心臓へと戻るべき静脈の血液が逆流し、足の下の方に溜まって血管が拡張し、瘤のようになります。
静脈にある弁は、妊娠や出産、立ち仕事、デスクワークなどによって壊れてしまうことがあります。一度壊れてしまうと修復できないため、血液の逆流を防ぐことができなくなりますし、他の残された弁にかかる負担が大きくなってしまいます。そのため、放置していると下肢静脈瘤は進行していきます。

下肢静脈瘤になりやすいタイプ

年齢、性別、仕事内容などのライフスタイル、遺伝など、下肢静脈瘤はさまざまな原因によって起こります。発症しやすい要因には下記のようなものがあげられます。

年齢

発症が多いのは30~50代です。静脈の弁がうまく働かなくなる、壊れることによって下肢静脈瘤が起こるため、加齢は大きな原因のひとつです。また、ふくらはぎの筋力が低下したり、運動不足になると弁にかかる負担が大きくなり、下肢静脈瘤のリスクを高めます。。

性別

女性は男性の倍以上の発症率があり、女性に多い疾患です。これは、下肢静脈瘤の発症が妊娠や出産に関係があることが原因となっています。妊娠中には黄体ホルモンの働きが促進され、下肢への血流量が増加し、血管や静脈弁に負担がかかります。

遺伝

先天的に逆流弁が弱いという体質があり、両親ともに下肢静脈瘤の場合、その子どもは90%が発症するとされています。血縁者に下肢静脈瘤の方がいる場合、リスクが高いと言えます。

立ち仕事

立っているとき、心臓と足の高低差は1メートルほどあります。そのため、長時間立っていると足の静脈弁には大きな負担がかかります。こまめに歩くなどふくらはぎの筋肉を動かしている場合には静脈弁への負担は軽減されますが、立ったままあまり動かないでいると静脈弁に絶えず大きな負担がかかり続けることになります。1日10時間以上の立ち仕事を続けていると、下肢静脈瘤は重症化しやすいという報告があり、実際に美容師や理容師、調理師、販売員などの職業に下肢静脈瘤発症率が高いという傾向があります。

下肢静脈瘤の症状

下肢静脈瘤の症状は、進行の段階によって変わっていきます。初期の症状から、進行に従って現れる症状まで、以下のような症状があります。

  • 夕方や夜になると、足がむくむ・だるい・重い・疲れる
  • 夜中や明け方に足がつる

足の見た目の変化

  • 細い血管が網目やクモの巣のように皮膚から透けて見える
  • ふくらはぎや太腿に瘤状のものがボコボコ浮き出ている
  • 足首が茶色や黒っぽくなった
  • 足にシミや色素沈着できた

足の皮膚疾患

  • 足が痒い
  • 足の皮膚が硬くなった
  • 足に湿疹ができやすい
  • ふくらはぎの内側にただれや潰瘍ができやすい
  • 足の皮膚の傷や湿疹がなかなか治らない

検査について

診察下肢静脈瘤の検査では、下肢血管超音波検査(エコー検査)が最も重要な検査です。これで血液の流れをしっかり確認して診断します。超音波検査は妊娠時に赤ちゃんの状態を調べるためにも使われる検査であり、安全性が高く、痛みなども全くないため何度でも安心して受けることができます。なお、特殊なケースでは、他に下肢静脈造影検査やMRI検査などが必要になる場合もあります。

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